久しぶりに出勤して、朝の通勤電車に乗った。見渡す限りのマスク顔、話してる人のない、たぶん皆一人客の静かな車内。
くしゃみをしている人もせきをしている人もいなくて、意外にも、今ここで感染することはないなと、満員電車は変な安心感があった。
吊り革はバッチリ握ってたけど、会社に着いて、洗面所に貼ってあったやり方の通りに手を洗って、おしまい。
午前中で用事は済んだから、朝からずっとマスクはつけっぱなし、そのまま家に帰って、直ぐに風呂に入った。
まだ未知の事がある新しい病気だけど、これで伝染ることがあったら、世にも恐ろしい感染症だと思う。
オフィスでは、席を2つ空けて座るとか、部屋に何人以内とか、あまり意味ないんじゃないの?とも感じるルールが決められていて、自分は席を空ける人になってる。
子供がいるから行けない、っていうのは今まで馴染んできた台詞だけど、今回は、☓☓さんや☓☓さんは子供がいるから出勤組という人もいて、在宅勤務をお願いされてしまった。
結局、出勤組は全員子持ちの人ばかり…。
どっちがどっち、どういう理屈?と一瞬だけ考えたけどすぐ止めた。お願いされたらしょうがない。とりあえず、あと1か月は在宅勤務だ。
このコロナ禍で、会社で座って仕事をしていた人は、パソコンさえあれば、実は家に座っていても全部同じ事ができるとばれたと思う。
紙の事とか、例の判子の事とか、誰かそれを仕事として頼める人がオフィスにいないと、できないこともあるけれど。
自分はオンラインでデータをやり取りして、オンラインでミーティングして、なんだか自ら全部バラして、バレてしまった。
自粛生活で、いろんなことがバレた。
もし保健所に追跡されたとしたら、言いにくい場所に行っているのを、会社の人には知られぬよう、今まで異常に用心深く行動していたのが、自分にバレた。
今までずっと、夜の店でコウちゃんとかシュウちゃんとか、短い名前のよく知らない人と大笑いしながら酒を飲んでいたのが、自分にバレた。
今まで、最後まで結局、一言も口をきかない誰かと、薄暗い部屋で全部脱いで引っついていたと、自分にバレた。