自分が高校生だった20世紀、書店には薔薇族だとか、何種類もの月刊誌が並んでいた。
小さくて分厚い、変なサイズの辞書のような本のような、表紙が人物イラストの雑誌。
家に帰る途中、乗り換えのターミナル駅を降りてすぐの小さい本屋、自分は制服姿で、パラパラと写真ページを見て、なんとなく気に入ると、そんなに抵抗なく、時々買っていた。
思い出してみて、制服を脱いで、休みの日にでも大人の顔つきで買いに行けばよかったのにと、今と変わらずズレてて、10代の自分に苦笑してしまう。
まあいいや、今日は買わずに帰ろうと駅に戻る雑踏で、どこかの背広姿のおじさんが追いかけて来て、書店の袋に入った雑誌をホイってくれたこともあったな。
恥ずかしくて、レジに持って行けなかったと思ってくれたんだろうね。古き良き時代…かな。
たまに、初めて本屋でそういった雑誌を見つけ手にして、こんな世界があったのかと、体に電気が流れるような衝撃を受けた、という話を聞く。
でも、自分はそんなことなく、思春期の謎の無自覚の中、白いご飯だけではという、ごく生理的な理由で、いいもん見つけたとだけ思って、雑誌を買っていた。
さて、2020年正月、すっかり中年の自分は、どうにも暇で、部屋で独り、身の置きどころがなくなって、アプリを開いてみた。
中にリサーチのために人を集めている、セクシャルなんとか研究者のアカウントがあった。
本来、自己紹介すべき欄には、ズラーっと10くらいの性的指向分類が紹介されていて、時代の進んだ昨今に感心しつつ、ぼんやりそれぞれの解説を読んでいた。
へえーと、半分くらいは初めて聞く分類で、その中の一つに「デミセクシャル」があった。
短い解説文を読み終わった刹那、ぼけっとソファでだらしなくしていた自分の瞳孔がクワッと開いたか、ギュッと絞られたか、した。
中年になった自分に訪れた、初めての電流体験だ。
そんなタイプの人がこの世の中にいるんだ、と知って、全身がビクッと反応するほど驚いた。
後で、Googleでいろいろ検索してみると、必ずしも、そのデミセクシャルという分類に自分がぴったり当てはまっているっていうわけではないんだけど、あの瞬間の感覚は何だったんだろう。
人様のブログを読ませてもらっていて、こっちの世界で、独り、なんだかうまくいかないなって感じてる人の中に、スライトデミセクシャルとか、マイルドデミセクシャルとか、ゲイのデミセクシャルとか(もしそんなのがあるとしたら)なんじゃないかな、っていう人がいる。
こっちの世界、第一歩目がまずは身体、っていうのが苦手で、うまくそこを突破していけないというか。
みんな、自分の幸せを見つけて欲しい。
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自分の電流体験。この記事の最後の部分は、専門家でもなく何の勉強もしてない素人考えです。それに、中年プラス大きなお世話イコールうざい、なんだけど、書いちゃった。ごめんなさい。