中年独りもん

会社員の男性同性愛者。

頬と頬を合わせて

オンラインでも顔を合わせたら、まずは適当に挨拶話をして冗談だって言い合う。

 

普段、毎朝会社に着いて、同僚たちの肩をポンボン叩きながら挨拶してたわけじゃないし、あまり何も変わってないような気もする。

 

狭いオフィスの同じ空間にいないのは確かだけど、バソコンの画面ごし、相手の顔をひたすら真正面からこんなに見ている時間は、今までそうなかったから、むしろ相手を近いとさえ感じる。

 

おっさん、ずいぶん整った顔立ちしてたんだな、なんて、真面目そうに打ち合わせしながら、こっそり発見したりして。

 

用件が済んだら、ちょっと世間話してから通信を切って、また自分の作業に戻ってと、これも普段会社のデスクでしてるのと流れは同じかな。

 

ちょっと隣の席に向かって、これってさ、とか聞いてたことは、今は携帯のメッセージアプリのスピーカー通話でするようになって、普段もそんな時はあまり顔なんか向けずに話してたから、ほとんど同じ感覚。

 

そんな時、そっか、ありがとうって言いながら、相手の二の腕の辺りをスリスリしてたわけじゃないし。

 

仕事が終わって、一杯やって帰るっていうのは久しくしてない。そういう生活をしてた人には寂しい毎日になってるだろうな。

 

自分は、電車でボケっと音楽を聞いて、1日が終わったなあ、っていう時間の部分がすっ飛ばされて、いかなり部屋のソファに夕方座っていて、それだけが少し不気味かもしれない。こんな風に1日が過ぎていって、いいのかな、と。

 

ああ、前の世界で、片っ端から人の肩をポンポンしたり、誰彼構わず二の腕の辺りをスリスリしたりしておけばよかった。

 

もしも以前の世界が戻ることがあったら、きっとそうしよう。