中年独りもん

会社員の男性同性愛者。

キャッチボール

柴田淳さんの「キャッチボール」

 

柴田淳さん、お名前をうっすら聞いたことがある程度だったんだけど、最近読んでいるお気に入りのブログで紹介されていて、なんだか気になったので聴いてみた。

 

「あなたと私で投げ合ったボールは、今どこにあるの?」

 

印象的な歌い出し、大人の女性の澄んだ声、今まで聴いたことがないタイプの歌だけど、いい歌だな、と思った。

 

「キャッチボール」を通勤電車の中や平日夜の寝床で、繰り返し聴いた。

 

安直な想像だけど、歌の中の女性とご本人を重ねて、柴田淳さんが、必死にキャッチボールをしている姿が、歌を聴いていると頭の中に浮かんでくる。

 

あ、この人はある時間、本当に、誰かと本気でキャッチボールをしていたんだな、と感じた。

 

相手は男性なのか女性なのか知らないけど、顔写真しか見たことがない柴田淳さんが、ボールを受け取ると、また、細い肩を全力で使って、投げ返している。

 

実は、一回目に聴いた時、恋愛に疎い自分は、恥ずかしながら小学生の頃、兄弟でしていたキャッチボールを思い出してしまった。

 

その時、真正面に向き合って、精一杯の力を込めた一番強いボールを、でも相手がきれいにキャッチしてくれるように、自分は何度も何度も投げていた。

 

相手が次はどんな玉を投げてくるのかな、とか、自分のいい玉を見せたいな、とか、いろんなことを考えながら投げていた。

 

繰り返して聴くうちに、この歌「キャッチボール」の主人公が、失って過去になってしまったものを想う気持ちに、ぐっときた。

 

自分は、男性でももちろん女性でも、相手と正面に向き合って、気持ちとか体とか、投げ合って受け止め合ったことがない。

 

臆病で、いつもその場ばかりの、自分勝手をしてきた自分。

 

ボールが何往復したかなんて、数えようとも思わないキャッチボールの時みたいに、何度も何度も、真剣に誰かと投げ合って、受け止め合ってみたい。

 

「キャッチボール」がしてみたい、なんて、いい歳してまだ思っている。