中年独りもん

会社員の男性同性愛者。

普通の男

生まれ変わるとしたら、次は同性愛者じゃなくて、「普通の」男に生まれたいな。 一人の男として、世代を繋いだり、大切なものの為に我慢したり頑張ってみたり。 大変そうだけど、それを帳消しにするほどの喜びの時が、大きいのも小さいのもたくさんあるんだ…

「雨の日は会えない」

ジェイク・ギレンホールが出ているから、ちょっと前の映画「雨の日は会えない、晴れた日は君を想う」を配信で観た。 (いつもただ「ジェイク」としか頭に入ってなかったけど、今タイプしてやっと名字が覚えられた) 「ブロークバックマウンテン」の二人、男…

Baby Baby

朝、会社のエレベーターで、前に少しの間同じフロアーで仕事をしていたことがある同僚と一緒になった。 自分より結構年下(子持ち)だけど、他所から来た者同士のせいか、それとも単にお互いそういう性格なのか、顔を合わせると変な気を遣わずにくだらない話…

触れたい

今年の夏休み中は、あれっ静かだな、なんだか人が少ないな、とふと気が付くいつもの盆の時期の感じがなかった。 せっかく帰るところがある人達が、しょうがなく皆東京に閉じ込められているのかな、とか考えた。 小さい一人の用事で外出して昼間の山手線に乗…

握手

自分達のグループしかいなくて、がらーんとした座敷、互い違いに座ってるせいでスカスカな感じになってる卓を囲んで、2つ年上のFさんの送別会をして来た。 コロナでのびのびになっていた退職日がついに来て、お別れだ。 本当なら人気者だったFさんのために皆…

バレた

久しぶりに出勤して、朝の通勤電車に乗った。見渡す限りのマスク顔、話してる人のない、たぶん皆一人客の静かな車内。 くしゃみをしている人もせきをしている人もいなくて、意外にも、今ここで感染することはないなと、満員電車は変な安心感があった。 吊り…

「Call Out My Name」 The Weeknd

家に籠もって人と会わない毎日、暇なもんだからカナダ人青年、The Weekndの歌ばかり聴いている。 ずっと独りでいると、じわじわ気持ちが内向的になってきて、昔のことを思い出したり、素直で根暗な彼の歌が心にぐっと来る。 皆がとっくに寝静まった頃の独り…

頬と頬を合わせて

オンラインでも顔を合わせたら、まずは適当に挨拶話をして冗談だって言い合う。 普段、毎朝会社に着いて、同僚たちの肩をポンボン叩きながら挨拶してたわけじゃないし、あまり何も変わってないような気もする。 狭いオフィスの同じ空間にいないのは確かだけ…

The Weeknd

コロナの日々、一人で家にいる時間が恐ろしく長くなって、よく音楽を聴いている。 お気に入りは、The Weekndっていう名義で活動してるカナダ人の歌手で、独特のミュージックビデオは不思議な魅力があって、飽きずに毎日見てしまう。 以前はドレッドヘアだっ…

悲しい

数日前、志村けんさんの感染のニュースを聞いて、それから多くの人と同じように、良くなって欲しいな、死んだら嫌だな、と時よりふっと思い出したりしながら過ごしていた。 昨夜、真偽はわからないけど、彼の病歴や年齢、病院で行われている処置から、もう助…

ワン玉

1月末、出張で訪れた東南アジア、いよいよ中国が段階的に自国民の出国に制限を設け始めた頃。 日本へ戻る時、団体の旅行客がいなくなった現地の空港は来た時より更に空いていて、いつもの喧騒と長蛇の列はなく、閑散としていた。 大きすぎる話し声、落ち着…

やらない二人 「Paddleton」

Netflixで見た、冴えないご近所同士、アメリカの中年男二人の映画「パドルトン」。 安そうな賃貸アパートの1階と2階、異性愛者の男二人が、毎日淡々と、しょうもない勤めに家を出て家に帰る。 やらない二人が毎晩、仲良く片方の部屋のソファで一緒に、だら…

温かい手

なんだかあっという間に1月も終わっていく。席を外している間にデスクに置かれた給料明細の紙を見て思う。 チェック柄の、四隅が糊付けされたコンピューター打ち出しの紙は、もうしばらく開きもせずに家に持って帰るだけなんだけど、もはやこの紙が、自分に…

「スケアクロウ」 Scarecrow

たいてい、乱暴者のアメリカ男役のジーン・ハックマンと、きれいな顔のアル・パチーノの70年代ロードムービー、大好きな映画だ。何回見ただろう。 ファイトクラブのブラピは最高だ!とか小津安二郎の映画はいい!とか、古くても今も見続けられ、語られている…

デミセクシャル Demisexual

自分が高校生だった20世紀、書店には薔薇族だとか、何種類もの月刊誌が並んでいた。 小さくて分厚い、変なサイズの辞書のような本のような、表紙が人物イラストの雑誌。 家に帰る途中、乗り換えのターミナル駅を降りてすぐの小さい本屋、自分は制服姿で、パ…

Happy Christmas

今年も仕事を納めて、一区切り。休み中の食料確保に行ったスーパーで、ジョンレノンの「Happy Christmas」 が流れた。 ビートルズにもジョンレノンにも全く思い入れはないんだけど、この歌は、自分にとって破壊力のある、魂をぐらぐら揺さぶる一曲だ。 日本…

「先に愛した人」

Netflixで台湾映画「先に愛した人」をみた。 配信の映画は、寒くなってきて、確かな当てもなく服を脱ぐのが面倒で、籠りがちになる冬場、中年の独りもんのささやかな慰めだ。 たまに見る台湾映画は、登場人物が結局、皆善人、日本のドラマにありそうなふわふ…

肌と近さ

年に数回の海外出張、自分が行くのは、家を出て数時間で着くアジアの国ばかりだ。 最近は、日本でも街中で常に中国語やらが耳に、ふと聞こえて来るような感じだから、どこに行っても同じで、ずっと東京の中にいるような変な感覚がある。 自分はビジネスマン…

バイバイ

平日に代休をとって、いつもの悪い癖、中年独りでダラダラ過ごしてしまいそうだったから、M田に連絡して会って来た。 M田は古い友達で、ずっと前はケータイメールで、その後はアプリでと、メッセージのやり取りは今でもしょっちゅうなんだけど、彼が15年く…

休日出勤

連休中に出勤して、帰りの駅、人でごった返すホームでR君に会った。 中年になって、休みが長くなると家に籠もってしまうことが多くて、休日出勤はそんなに嫌ではない。 遅れている電車、ちょっと離れた所にある「到着予定時間」を見ている時に視線を感じて、…

キャッチボール

柴田淳さんの「キャッチボール」 柴田淳さん、お名前をうっすら聞いたことがある程度だったんだけど、最近読んでいるお気に入りのブログで紹介されていて、なんだか気になったので聴いてみた。 「あなたと私で投げ合ったボールは、今どこにあるの?」 印象的…

恐い顔

いつも温厚な、笑顔以外見たことがない男が、すごく恐い顔をしていることに気が付いた。 この時は3回目、一瞬、誰か知らない人に見えて、ビクッとしてしまった。 自分は、やっている最中、集中してくると、なんというか、虫眼鏡で太陽の光を集める時みたい…

嘘つき

久しぶりのあの街。仲通りをできるだけ歩かないように、友達と自分は、肌寒い大通りをぐるっと周って行く。そして、暗い目の小路を通って、さっと店に入った。 店と店の間に、仲通りをただただ、ウロウロする時間があった遠い昔の10代、20代。今どきは皆、そ…

西の、大阪のもっと向こう

遠くには、きっとここにはない、何かいいものがあるに違いない。そんな考え方が、大げさだけど、古来より日本人の心の中にあると思う。 遠方へ、まだ知らない、ここにはないものを探しに行きたいという気持ち。 そう言えば、チルチルミチルの「青い鳥」の話…

LGBT

「昨日いっしょに居酒屋に行った先輩、その人はLGBTだって言ってたけど、自分はそういうのは、気にしないんだ」 職場の大きいテーブルでの雑談中、A君がそんなことを言っている。 まだ二十歳前のA君。フランケン風の大きいガタイ、ちょっととぼけた感じの優…

会いたい

最近、無性に亡くなった父に会いたいと思う時がある。 平凡な会社員だった父。子供に甘くて、自分は怒られた記憶がない。 平日の夜、寝床で、さて寝るかと灯りを消した後、中年の自分は、あー会いたいなぁって小さい声で言ってみたりする。 自分はいい歳して…

愛おしい二人

先日、古いパソコンを処分した。20年にわたる歴代のパソコンたち。全てノート型だ。 自分の場合、大体、ディスプレイがダメになってしまって、新しいのに買い換えることが多い。 捨て方もよくわからなかったし、壊れてただの「四角い物」になったパソコンを…

愛する人

誰かの、恋人の誕生日パーティーの写真に、こう添えられていた。 「いつでも✕✕君の幸せを願ってます」 二人の表情から本当の気持ちだと伝わって来る。いい言葉だ。 人は誰でも、誰かに受け入れられ、愛されたいという気持ちがあると思う。もちろん自分もある…

John Grant & Damien Dempsey  "You don't have to"

ダミアン・デンプセイ。 アイルランドの中年フォーク歌手。ギターを弾きながら、訛りのある英語で男っぽく歌う。 名前、ダミアン・デンプシーっていうのかもしれない。 歌う姿を見ると、外見は水戸黄門の格さんをやってた俳優にちょっと感じが似ている。 最…

360回の夕飯

一時期、面倒で夕飯を食べてなかったんだけど、これは健康であるためにまずいだろう、と大人の頭で考えて、この頃はきちんと食べてる。 夕飯を食べないと、空腹で寝付けないから、当時は何年か、寝る前に夏でも冬でもアイスクリームを食べてた。間抜けな中年…